2011年4月27日水曜日

「トゥルー・グリッド」のこと



週末、ジョエル&イーサン・コーエン監督の「トゥルー・グリッド」観ました。
晩年のジョン・ウェインにアカデミー主演男優賞をもたらした1969年制作「勇気ある追跡」のリメイク。
観終わったあとに、なーんの引っかかりも残らなかったので、観たこと自体すっかり忘れてたあ。

コーエン兄弟の作品は、シリアスで皮肉な作品と、これまた皮肉なコメディーとのだいたい2種類で、大傑作もコケたのも、どっちにしても異様にひねり満載で、観終わった後、体の中を乾いた風が吹くような、それが癖になる感じで好きなのですが、今回は、びっくりするくらいの王道。

父親の敵をうつために、14歳の生意気で賢い女の子が、酒飲みの保安官を雇って旅に出る話。

王道とは言っても、コーエン兄弟なりの王道と言いますか。
主人公たちはとても人間味のある人に描かれているし、父親を殺された恨みとか、一緒に旅をするにつてれお互いの信頼感が増す感じとか、べたっと作ろうと思えばそういう要素満載なのに、そうはならない。
かといって、感情移入できないことも、ない。
見せ場はいっぱいあって、そこはもちろん、どきどきする。
でも不思議と、後にはモヤモヤも、高揚感も、満足感も、なんかそういう感情を揺さぶる名残りみたいなものが全くない。
不思議な映画です。
こういうのこそ、良くできた娯楽作、と言うのかもしれない。
観ている間は、めいいっぱい別世界に行けるけど、あとに残らないもの。
やっぱり、さすがだなぁ、と思った。こういうのも、作れてしまうんだ。
私はけっこう好きです。この映画。
DVDよりも、映画館で見る方が楽しめるはず。
もうすぐ終わっちゃいそうですが、おすすめ。

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