2011年6月25日土曜日

女子の本


三浦しをん 「まほろ駅前多田便利軒」を読みました。
知り合いが貸してくれたので。
「阪急電車」に続き、こういうのは自分ではおそらく買わないね。

直木賞受賞作ということでなんとなく頭に残ってはいたのですが、それ以上に、大森立嗣が監督で映画化するって知ったあたりから 、それなら読んでみてもいいかなぁ、とは思っていたのです。
大森南朋のおにいさんね。おとうさんは舞踏家の麿赤児。

男ふたりの、ぬるいお話。
便利屋をやっている主人公のところに、高校の同級生で、変人だから接触は皆無だったけど、ひっかかるエピソードがある男が転がり込んできて、居座ってしまうというもの。
起こる事件は他愛のないものがほとんどで、でも二人の抱えている暗い部分がそれら事件にからんで次第に浮かび上がってくる展開。

さすが直木賞とってるだけあって、どことなくマンガ風であっても、小説としてぎりぎり読ませる。
軽すぎず、でも空っぽでもない程度に深みもあるので、読後に、読んで損したって腹が立つようなことも、まぁない。

こういう小説って、主人公たちのキャラクターにどれだけ共感できるかで、良し悪しの感想も違ってくる類のものだと思うのですが、そういうところが私としてはよく分からないんですよねえ。
べつに登場人物が好きになれなくても、物語の場所が全く知らない想像もできないようなところであっても、時代がいつであっても、何を書いているかってところに深く入ることができれば、それはいい小説だと思えるはずで。
そうやって、考えて読んだ本からは、きっと今まで知らなかった何かをもらえるはず。
さいきんは、扱うテーマが他愛のないものになりがちだから、キャラクター重視、みたいな小説ばっかりなんだろうか。
直木賞ってのも、なんだかよく分からない感じがしますね。

と、文句ばっかり書きましたが、べつに悪い本ではないです。
さらっと、それこそ気分転換に読むには、いいと思う。
嫌な人とか出てこないし、基本的に愛すべきキャラクターで構成されているので。
どっちかと言うと、女子向きとは思いますが。
あれはぜったい女子目線の男同士の話な気がするなあ。



ところで、女子つながりで、本題。

只今、神戸元町の本やさん「海文堂」で、『女子の古本市』なるものが催されています。
岡崎武志という古本とか古本屋に関する著書が多いライターが、今回「女子の古本屋」という本を刊行したのにちなんで、全国から50店舗の女性店主の古本屋さんを集めて開く古本市。
24日(金)~26日(日)の3日間です。






海文堂の古本市が開かれる場所は、お店の2階の隅っこの、穴倉のようなところなんですが、いつもの古本市はむさいオッサンが大半なのに反して、今回は「女子」なだけに女子があふれかえっておりました。
品揃えは別に女子っぽいとかいうわけではないと思うんですが、それでもやっぱりカルチャー寄りというか、いわゆる古書っていうマニアックさは薄め。
絵本とかけっこうありました。

しかし、来ている女子たちがなんだかおもしろかった。
みんな、なんかちょっとレトロな格好してるんですよね。
不思議っぽい雰囲気を漂わせている。
ぜったいに猫飼ってそう、みたいな。
スタバでなく、喫茶店に行きそうな。
で、みんなものすごいウキウキ盛り上がっていて、10冊以上抱えて「次回もぜったい開催しますよねっ!?」って熱く店員さんに質問するような人ばっかりで、最近、趣味にのめりこむ女の人がいろんな分野で注目されていますが、(たとえば山ガールとか、将棋とか?写真とかさ)古本という分野もその一つなのだなぁ、と目の当たりにした感じです。
日本の経済は若者から老人まで、女の活動と消費で動いている。たしかに。

熱気に押されて思わず買ってしまった本。
こちら。






前からほしかったんですよね。
半額くらい。
別に古本的な価値は全くないと思いますが、なんかうれしかったのでした。

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