2011年3月8日火曜日

夜想曲集

ひさしぶりに、本のお話を。


カズオ・イシグロの「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」
初の短編集です。
文庫本になったので、読んでみようかと。

この人は、新しい本をだすたびにテーマとか作風が違っていて、でもやっぱり全ての作品に共通して、どこか「ひっそり」した空気が感じられるように思う。
それが今回の短編集は、ちょっと意外なくらい、「あったかさ」とか「ほほえましさ」とか、そういうのがひっそりした中にいい塩梅に混じっていて、それがなんとも読後にいい気分を余韻として残します。
単行本として出た当初は、軽く立ち読みした感じではあまりピンとこなかったので後回しにしていたのですが、こんな早くに文庫化されるとは。
読まず仕舞いになるところでした。読んでよかった。
やっぱりハズさないなぁ、この人は。


音楽にまつわる短編集です。
老いた元有名歌手や、その別れた奥さん。顔を整形して売れっ子になろうとするミュージシャン。うまくいってる人なんて一人もいないし、これからうまく行くかどうかも全然分からない人ばっかりで、この先同じことの繰り返しかもしれなくて、立ち止まって思い出して悲しくなったりして、でもやっぱり生きて普通に生活していくのもそんなに悪くはないかもなぁ、と思えるような話。
「仕方がない」というのでもなく、積極的に何かが明るく照らすわけでもなく、でも、「悪くない」って思えるような。
音楽がいろんな場面で効果的に使われるからでしょうか。普段は本を読むときに音楽は聴かないのですが、これを読んでる時には、ゆるいボーカルの曲を聴いてた。そんな、本です。

カズオ・イシグロを読むなら、断然、「私を離さないで」と「日の名残り」をおススメしますが、これはね、軽く読めるので、とっかかりとしてどうぞ。
今月末には「私を離さないで」がついに日本で公開されますよ!
これも、以前のブログにトレイラーのリンク貼ってます。
キャリー・マリガンの演技が楽しみ。

コチラ  ⇒  http://hakusen-moko.blogspot.com/2010/06/blog-post_17.html

あ、自分の前に書いたの見て思い出したけど、「17歳の肖像」は大したことなかったなぁ。ウキウキして観はじめたのに。
それでもキャリー・マリガンの魅力はもうほんとに全開でした。
話の筋なんてどうでもいいくらいに。(どうでもいいような話やったし、実際)
キャリー・マリガンが主役じゃなかったら、かなりお粗末なものになってたのでは…、って感じ。

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